文学フリマ金沢・事務局通信

文学フリマ金沢からのお知らせブログです。

文学フリマの成り立ちから見る「文学フリマにおける【文学】」について

窓を開けたら、そこは一面の銀世界だった--。そんな季節に突入しました金沢事務局でございます。この時期にしては珍しく大雪の金沢でして、私3号もこの後雪かきをしなくてはいけません。きっと明日は筋肉痛で苦しむ事が予想されますが、同じ境遇の皆様、どうぞご自愛ください。

ところで、数日前にTwitterでこのような発言をしたことをご存知でしょうか?

 

この意図について、知らない方も大勢いるでしょう。というわけで、文学フリマの成り立ちを説明するとともに、「文壇における文学」と「文学フリマにおける文学」の違いを説明したいと思います。

(今回長いので、折りたたませていただきます)

 

不良債権としての「文学」と文学フリマ

まず、文学フリマは東京で開催されました。
そのときなぜ「文学フリマ」というイベントが開催されたのか。すべてはこの文章から始まっています。

不良債権としての『文学』」(「群像」2002年6月号・大塚英志

文学フリマ - 不良債権としての『文学』


ご存じの方も多いと思われますが念のため、「群像」は講談社発行の月刊文芸誌です。上記リンク先の文章は、もともと笙野頼子氏からの批判に答える形で書かれているためわかりにくい部分があると思います。

(1)素人が文学にあらゆる意味で口を出すな。

あたりから読み始めたほうが良いかもしれません。
(といっても、その後もいくつか読み飛ばして良い箇所があるような気がしないでもないのですが…。あと、2002年の記事ですので、後半登場する「コミケコミックマーケット)」や漫画雑誌に関する記述は当時の状況であり、現状ではない点にご注意ください)

要約すると

  • 商業文芸誌に掲載されるものだけが文学じゃない
  • 文学における既存の商業出版の仕組みは破綻しつつある
  • 自費出版(同人誌)で文芸誌は出せる
  • 作家の自己責任による文学を作るべき
  • 既存の流通システム(=商業)とは別にコミケのような文学の市場を作る

という感じでしょうか。


ともかく、群像という文芸誌での呼びかけに応じた人たちが集まって開かれたのが、最初の「文学フリマ」でした。
ただし、大塚氏は自分が主催としてやるのは1回限りであり、続ける意志がある人間がやるべきであるという考えてあったようでして、2回目以後は自発的に名乗り出た人間が運営するとなっておりました。そこで名乗り出たのが、文学フリマ事務局(文学フリマ東京事務局)代表の望月氏だったのです。

そして、年月を経て、現在文学フリマは東京の他に大阪・金沢・福岡・札幌・岩手・京都・前橋と開催地を増やしていきますが、それぞれは独立した事務局で運営されており、また「文学フリマをこの地でやりたい!」と名乗り出た人が一番最初の代表として開催しています。そして、その代表たちのほとんどが、文学フリマに出店者といて(もしくは一般として入場)参加した上で「自分の地元でもやりたい」と名乗り出ています。

つまり、いわゆる文壇・文学(=純文学)出身者が行っているイベントではなく、また、文壇・文芸(=純文学)という枠を超えた文学(=作家の自己責任による文学)のイベントが「文学フリマ」なのです。
この「作家の自己責任による文学」が、公式サイトの文学フリマとは?に記載される「自分が〈文学〉と信じるもの――自費出版の本はもちろんのこと、ホッチキスで綴じただけのコピー誌、フロッピーディスクやCD-ROM、果てはTシャツまで――を売るイベントです。」
となるわけです。

これらの意味を込めた上で、この記事の最初に転載したものに続く文学フリマ金沢の告知つぶやきは、こうなりました。

 

この初期文学フリマについて詳しく知りたい方は、公式サイトの「アーカイブス」などに色々ありますのでお読みいただければ幸いです。

文学フリマ - アーカイブス

作者が信じる「文学」が集まる場として

「文学」というと堅苦しいイメージが有ると思うのですが、それは多分文学=文壇のイメージがあるからだと思うのです。文学フリマはどちらかと言うと文壇界から背をそむけた形で始まっているフシがあります。もちろん、いわゆる純文学と呼ばれるものを拒否しているわけではありません。
金沢は(スタッフの力もありますが)短歌・俳句関係の同人誌の割合が多い文学フリマですが、その短歌・俳句も文壇的なものかといえばそうとは言い切れません。もっと自由な世界で作り上げた作品が多いのです。

文学かどうかという話で思い出すのは、数年前に流行した「ケータイ小説」でしょうか。あれは小説ではない!という意見がかなり見られましたが、それもやはり「小説=文壇的思考による小説」から考えると違うと思いますが、一時代を作るほどの小説と書き手を生み出してきました。そして、商業作家までケータイ小説を書いたりといったことを考えると、やはりあれは小説の一つの形であり、文学であると思うのです。

そういう意味で、文学フリマにおける「文学」はもっと幅広い考えに基づいた文学作品をも受け入れる場として作られています。むしろ、文学=文壇な方々の常識をぶち壊すような「作者が<文学>と信じる文学」が生み出されてほしいと思うのです。

ですので、「私は小説を書いているけれど、私の小説は文学じゃない」と思っている人ほど、文学フリマに参加してほしいと思っています。もしかすると、あなたの作品がきっかけとなって、新しい文学ジャンルが生み出されるかもしれません。
特に文学フリマ金沢は、成立した経緯上「文学フリマの実験場」としての側面も持っています。他の文学フリマではやっていないこと(例えば事務局による委託コーナーの設置や見本誌閲覧会など)を行っています(似たような立ち位置である文学フリマ福岡さんも色々やっておりますね)。法に触れるようなものやパフォーマンスは禁止ですし、会場の都合もあってできない企画もあったりしますが、「文学とはこういうものである」という考えが特に根強い文化を持つ金沢で、様々な文学が存在し、これもあれも文学でいいんだよ!と作者自ら発信する場になってほしいと思うのです。

それが、文学フリマにおける文学であり、文壇における文学との違いです。

……と文学フリマ金沢に1回目からスタッフとして参加している3号は勝手に思っておりますが、みなさんはどういうイメージがあるのでしょうか?

さあ、あなたの「文学」を読ませてください

第四回文学フリマ金沢は、2018年5月27日にITビジネスプラザ武蔵めいてつ・エムザ内)で開催します。現在出店者を募集中です。

自分の本を自分で手売りをする「通常出店」の他、金沢事務局が代行して販売を行う「委託出店」があります。

そして、当日買いに来るだけのお客さん(一般入場)は無料です。
当日、文学作品の展示即売会以外にも、いろいろな企画を準備しています。

特に北陸の皆さん。
北陸の文学の力をもっともっと広めてみませんか? あなたの作品を「文学」として求めている方もいるはずです。
申込はWeb上で行っております。スマートフォンからも申込可能です。

文学フリマWebカタログ+エントリー

文学フリマ金沢事務局は、皆さんの<文学>をお待ちしております。